11年使ってきた1PasswordからApple純正パスワードアプリに乗り換えてみた

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長年愛用してきたパスワード管理ツール「1Password」から、Apple純正のパスワードアプリに乗り換えました。パスワード管理は現代のデジタルライフでは必須になっているものの、高機能な専用パスワードマネージャーからシンプルなApple純正のパスワードアプリへの移行は私にとってとても勇気がいる決断でした。この記事では、11年もの間私のデジタルセキュリティを支えてきた1Passwordを手放し、Appleエコシステムに完全に身を委ねることになった理由と、その過程で発見した意外なメリットについてお話しします。サブスクリプション疲れを感じている方や、シンプルでありながら安全なパスワード管理を模索している方の参考になれば幸いです。

目次

1Passwordとの11年間

2014年、パスワード管理の重要性を痛感していた私が1Passwordを選んだのは、単なる偶然ではありませんでした。長年Windowsユーザーだった私が2014年に初めてMacを購入した時、1番の問題がパスワード管理をどうしようかということでした。当時の環境ではWindowsもあり、Macもあり、iPadもあり、Androidもありの状況で、そんな中でパスワードの管理をどうするかは相当頭を悩ませた。色々考え抜いた挙句、当時からすでに評判の高かった1Passwordを導入し、私のデジタルライフを根本から変えることになります。

クロスプラットフォーム対応の便利さ

Windows PCもある、MacBookもある、iPhoneもAndroidもiPadもあるような状況でも、すべてのデバイスで同じパスワードに瞬時にアクセスできる利便性は革命的でした。ブラウザ拡張機能が各プラットフォームでシームレスに動作し、ログインの手間が劇的に減りました。

強固なセキュリティ機能

AES-256ビット暗号化やゼロ知識証明の採用など、業界最高水準のセキュリティ対策に守られている安心感は何物にも代えがたいものでした。1Passwordの透明性の高いセキュリティポリシーと迅速な脆弱性対応は、大きな信頼材料となっていました。

使いやすいインターフェース

複雑なセキュリティ技術を搭載しながらも、驚くほど直感的に使えるUIデザインは特筆すべき点です。パスワード生成、保存、自動入力の一連の流れがスムーズで、テクノロジーに詳しくない友人や家族にも自信を持って薦められました。

家族間での共有機能

特にファミリープランに切り替えてからは、家族共通の支払い情報や重要書類の安全な共有が可能になり、家庭内のデジタル管理が一元化されました。

Appleのパスワード管理システムへの移行を決めた理由と魅力

アップル純正のパスワードアプリは2024年6月のWWDCにて発表され、2024年9月にリリースされました。このアプリは、iOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoiaの一部として公開されました。

このアプリは、長年使われてきたiCloudキーチェーンの機能を拡張し、より使いやすい独立したアプリとして提供されています。ユーザーはこのアプリを通じて、パスワード、パスキー、2要素認証コードなどを簡単に管理できるようになりました。

アップルは、このアプリを通じてユーザーのパスワード管理をより安全かつ簡単にすることを目指しています。また、Windows PCユーザーもiCloud for Windowsアプリを通じてこの機能を利用できるようになりました。Macではsafariに最適化されてますが、safari以外のブラウザ、例えばChromeやfirefoxなどのブラウザでは”iCloudパスワード”という名前の拡張機能を使えば自動入力などの基本的な機能は使えるようになります。

11年間愛用してきた1Passwordを手放す決断は、綿密な検討の末に至った結論でした。以下に、私が移行を決意した主な理由とApple純正パスワードアプリの魅力を説明します。

コストパフォーマンスの優位性

第一に、コストパフォーマンスの問題です。1Password導入当初は各プラットフォームごとに買い切りのアプリでしたが、時代はサブスクリプションになり、サブスク必須になった1Passwordの料金体系実はドルベースだと今まで一度も値上げされたことがないのですが、昨今の円安ドル高の影響で日本のユーザーには大きな値上げ負担となっています。一方、Apple純正パスワードアプリ(iCloudキーチェーン)はiOSやiPadOS、macOSに標準搭載されており、追加料金は一切発生しません。1PasswordからApple純正パスワードアプリに乗り換えれば長期的なコスト削減につながります。世界的な物価上昇の波が家計を圧迫してますから、できれば無駄な出費は抑えたい人にとってはサブスクリプションの見直しは必須なのです。

シームレスなアップルエコシステム統合

Appleエコシステムの進化が目覚ましく、iPhone、iPad、Mac、Apple Watchなど、すべてのAppleデバイス間でパスワードが瞬時に同期されます。

パソコンにMacを使い、スマートフォンはiPhone、タブレットはiPad、スマートウォッチはApple WatchのようなApple信者の私には、サードパーティのパスワードマネージャーよりも、純正のパスワード管理システムを使用する方が自然な選択となります。

充実した機能と強固なセキュリティ

2024年にiCloudキーチェーンからApple純正パスワードappとして進化し、以下のような充実した機能を提供しています:

  • パスワード管理の基本機能
    • パスワードの保存と自動入力
    • 強力なパスワードの自動生成
    • パスワードの重複や脆弱性のチェック
    • 複数のアカウントとパスワードの一元管理
  • 認証とセキュリティ
    • Face IDとTouch IDによる生体認証
    • 2要素認証コードの自動入力と保存
    • エンドツーエンドの暗号化によるデータ保護
    • パスキー(PassKeys)への対応
  • 共有と同期
    • iCloud経由でのデバイス間同期
    • 家族でのパスワード共有機能
    • 特定のパスワードの安全な共有
  • クロスプラットフォーム対応
    • SafariでのシームレスなパスワードアクセスとUX
    • Chrome、Firefox等の主要ブラウザ対応(拡張機能経由)
    • iCloud for Windows経由でのWindows PC対応

シンプルで直感的な使い心地

最後に、そして最も重要な点として、シンプルさの価値があります。複雑な設定やカスタマイズオプションは、実際の日常使用ではむしろ邪魔になることがあります。純正のパスワード管理システムは、必要最小限の機能に絞られており、それでいて日々のログイン操作がスムーズです。OSネイティブのアプリケーションならではの安定性と、シンプルな操作性により、パスワードの自動入力から保存まで、ストレスなく日常的なタスクをこなすことができます。

これらの要因が重なり、長年の付き合いがあった1Passwordから、Appleの純正パスワード管理システムへの完全移行を決意することになったのです。特に、セキュリティと利便性のバランスが取れた統合システムという観点で、この選択に確信を持つことができました。

移行プロセス

1PasswordからApple純正メモアプリへの移行手順

  • データのエクスポートとインポート方法
  • パスワード以外の情報の移行戦略
  • 移行時の注意点とトラブルシューティング

1Passwordからアップルの純正パスワードアプリへの移行手順について、以下のステップで詳しく説明します:

データのエクスポート・インポート

  • 1Passwordからのデータエクスポート
    • 1Passwordアプリで全データをCSVファイルとしてエクスポート
    • CSVファイルには重要な情報が含まれているが暗号化されてないため、安全な場所に一時保存して、利用が終わったら即削除で
  • iCloudキーチェーンへのインポート
    • Apple純正パスワードアプリでCSVファイルからデータをインポート
    • 既存のパスワードとの重複がないか確認

データ移行時の注意点

1PasswordにはIDやパスワードのログイン情報だけではなく、銀行口座情報とか、Wi-Fiの設定情報とか、クレジットカード情報とか、画像ファイルとか、セキュアノート(暗号化して保存しておきたいテキストデータ)などいろいろなものが保存できます。一方でアップル純正のパスワードアプリはログイン情報とかWi-Fiの接続情報(SSIDパスワード)しか保存できません。

アップル純正パスワードアプリには保存できないけど、安全に保存しておきたい情報はどこに保存しておくのが良いか事前に確認してから移行作業をする必要がありますね。

オススメなのはApple純正ノートアプリに保存する方法です。ノートアプリに保存する情報の中でも特に大切な情報には、そのノートに必ずロックをかけて保存してください。ノートアプリでロックをかけると、そのノートの内容はエンドツーエンドで暗号化されますので、万が一でも外部に漏れることがなく、あなたしかデータにアクセスできなくなります。

1PasswordからApple純正のパスワードアプリに移行したら、正しくデータがインポートされてる確認してください。例えば1Passwordに保存していたGoogleアカウントの情報の何から何までもれなくインポートされるわけではなく、インポートされるのはIDとパスワード、URL、2段階認証用の認証コード、ノート欄に補足事項を書いてる場合はその内容がインポートされます。1Password独自の項目や、パスキーなどはインポートされません。

何がインポートされて、何がインポートされてないのか、移行後は必ずチェックして、必要であればインポートされてない情報を「Apple純正パスワードアプリのメモ欄」に転記する作業をしてください。メモ欄には書ききれない情報や画像ファイルなどは別途Apple純正メモアプリにロック付きで保存するなどの手間が発生します。

クレジットカード情報はSafariの自動入力機能に保存できます。保存した情報はiCloudキーチェーンで暗号化され、同じAppleアカウントでログインしている全てのデバイスで安全に同期されます。クレジットカード情報をsafariの自動入力に保存する場合は、ICチップの暗証番号や3Dセキュアのパスワードなどの情報を保存する場所がありませんので、その辺の情報は別途Apple純正メモアプリにロック付きで保存しておきましょう。

クレジットカードの保存・編集方法

  • Mac
    Safariを起動してしてsafariの設定>自動入力>クレジットカード[ 編集 ]
  • iPhone
    iPhoneの設定アプリ>アプリ>safari>自動入力>保存済みのクレジットカード

乗り換えて感じたメリットとデメリット

メリット

  • シンプルで直感的なインターフェース
    • 余計な機能がなく、必要な操作にすぐにアクセス可能
    • 学習コストが低く、家族での共有も容易
  • 完璧なAppleエコシステム統合
    • Face ID/Touch IDでの素早い認証
    • Safari自動入力との完全な連携
    • デバイス間での瞬時の同期
  • 経済的なメリット
    • サブスクリプション料金の削減
    • iCloud追加容量も不要

デメリット

  • プラットフォームの制限
    • Windows PCならiCloud for Windowsをインストールすれば利用可能だが、Androidデバイスでの使用が困難
    • ブラウザはSafariに最適化されていて、他社製のブラウザだとブラウザ拡張機能の「iCloudパスワード」をインストールすると使える
  • 高度な機能の不足
    • 例えば第2パスワードだったり、秘密の質問だったりを保存するカスタムフィールドが作成できないので、そのような情報の保存が必要であれば、メモ欄に記入するしかない。また分類のためのタグ付けができないので、検索でしか欲しい情報を探せない
    • パスワード履歴管理機能がないので、パスワードを変更したけど、変更前のパスワードが必要になったみたいな状況だと対応できない
    • パスワードジェネレーターで複雑なパスワードを自動生成してくれるけど、記号がハイフンだけだったり、桁数が固定されてるので・・・自由に変更できない。桁数を変更したかったり、別の記号が使いたいなどの要望が満たされない。私はMicrosoftのAuthencicatorアプリ(iOSアプリ)のパスワードジェネレーターで作成してApple純正パスワードアプリにコピペしてます。
    • メモ欄でマークダウン記法が使えない

パスワードマネージャーの併用もあり

Apple純正パスワードアプリは、主にAppleのエコシステムに深く関わっているユーザーに最適です。要するにわかりやすく言えば・・・Apple信者の人にはおすすめということですね。MacやiPhone、iPad、Apple WatchなどのApple製デバイスを日常的に使用している方にとって、シームレスなパスワード管理体験を提供します。メインのスマートフォンがAndroidである人、ブラウザを複数使い分けていてSafari以外のブラウザも積極的に使っており、頻繁にいろんなサイトにてログインログアウトをする必要がある人などにとってはあまり向いてないです。

例えばChromeではアップル純正パスワードアプリに保存したパスキーを利用できるんですが、Arcだと利用できないので、パスキーが要求される場面では必ずQRコードが表示されて、それをiPhoneで読み取るとアップル純正パスワードアプリに保存したパスキーでログインできるようになるんですが・・・ちょっとその辺が面倒だったりしますね。ユーザー体験が低下してる感じがします。多分他のブラウザでもアップル純正パスワードアプリ上のデータを使う上でsafariの時よりも不便に感じる場面が少なからずあると思います。その辺の不便さがどうしても気になる人は1Passwordやbitwardenなどのマルチプラットフォーム対応のパスワードマネージャーを使い続ける方がユーザー体験は良いです。

Apple以外の製品で使うときや、他社製のブラウザで使うときのユーザー体験の低下を気になさるのであれば、一つの解決策として「パスワードマネージャーを併用する」・・・例えばApple純正パスワードアプリとほぼ無料で使えるbitwardenを併用するみたいな使い方もありだと思います。しかしそうなるとパスワード管理の手間がかかる問題が発生します。例えばあるサイトのパスワードを変更したけど、メインで使ってるパスワードマネージャーでは変更を反映したけど、サブで使ってるパスワードマネージャーの方では変更し忘れていたということが往々に起こりうるからです。メインで使うパスワードマネージャーはApple純正パスワードアプリにして、bitwardenにはパスキーのみを保存するとかよく使う大事なサイトのパスワードのみを絞って登録するなどの運用方法が現実的になるでしょう。

まとめ

11年間使ってきた1PasswordからApple純正パスワードアプリに乗り換えた話を長々としてみましたが、いかがでしたか?1Passwordにはパスワードマネージャーとしては老舗中の老舗で、使ってるだけで安心感があります。大切な情報はとりあえず1Passwordに突っ込んでおけば、1Passwordを覗くだけでその情報にアクセスできるのはとっても便利でした。

昨今はいろいろな物価が上がってしまって、家計を圧迫してます。1Passwordからの乗り換えを決意したのも、Appleが純正のパスワードアプリをリリースしたので、これに乗り換えれば節約になるかなと思ったのがきっかけでした。

10年以上使い続けてきたものを乗り換えるのはかなりの決意が必要でしたが、いざ乗り換えてみると・・・意外にも「これでもやっていけそう」というのが正直な感想です。

実際に乗り換えを実施してみると、全く使わなくなったサイトのログイン情報や、大昔に購入した二度と使用する予定のない有料アプリのライセンスキーなど、不要なデータが多く見つかりました。パスワードマネージャーの移行作業を通じて、このような不要な情報の整理ができたことは予想外の収穫でした。

私も今後ずーっとApple信者でいるかはわかりませんし、iPhoneからAndroidに乗り換えてしまう可能性も0ではありませんのでそうなったら1Passwordに出戻るかもしれないし、bitwardenに移行するかもしれません。将来的なことはわかりませんが、とりあえず今の所はApple純正パスワードに乗り換えてみて「やっていけそうだぞ」という手応えは感じたのでしばらくはこの運用方法でやっていこうかなと思っています。節約できたサブスク代金はNISAにでもぶっ込もうかな?

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この記事を書いた人

MacとかiPhoneとかApple製品が好きですが、Windows、Android、Alexa、Google Nest Hubなどいろんなガジェットが好き。根っからのキャッシュレス派で、最近は資産運用(株式投資・投資信託)に力を入れてます。

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