manifest v3でブラウザのアドブロックはどうなるか?

当ページのリンクには広告が含まれています。

皆さんはお使いのブラウザに拡張機能(extension)はインストールしてますか?ChromeやEdgeなどのブラウザに便利な拡張機能を追加するとブラウザの利便性が大きく向上するのでたくさん拡張機能をインストールしてる人も少なくないと思います。便利で安全な拡張機能がある一方で、エンドユーザーのセキュリティやプライバシー、ブラウザのパフォーマンスに悪影響がある拡張機能も少なからず存在します。

参考記事

GoogleやMicrosoftが中心となって、ブラウザ拡張機能の新仕様である「manifest v3」の完全導入が計画されてます。Google ChromeやMicrosoft Edgeなどのブラウザにインストールして使える拡張機能を開発する人が必ず守らなければいけないルールみたいなもの・・・それがmanifestです。今現在我々エンドユーザーのブラウザにインストールされている拡張機能の多くはmanifest v2に準じていますが、もうすでに新規で拡張機能を作る場合にはmanifest v3を使わないといけません。manifest v2からmanifest v3への移行はタイムスケジュールに従って徐々に切り替わっていき、最終的にはmanifest v3に完全移行します。

manifest v2からmanifest v3に完全移行することによって、ブラウザの拡張機能を利用するエンドユーザーのセキュリティ・プライバシー・パフォーマンスが強化されるそうです。

しかしながらこの変更は、ブラウザ拡張機能の開発者に多くの影響を与える可能性があります。特にmanifest v2仕様のアドブロッカーやトラッカーブロッカーがどのように影響を受けるかについて説明します。

目次

manifest v2とmanifest v3の比較

manifest v2

参考リンク
  • ブラウザの旧拡張機能API(webRequest API)
    • webRequest APIを使うと拡張機能が複雑な処理を実行できる。AdGuardやuBlock Originが性能の高い広告ブロック機能を提供できるのはこのwebRequest APIを使ってるから
    • しかしwebRequest APIを使うとChromeのパフォーマンスが低下する
    • 悪意のある拡張機能がwebRequest APIを悪用してエンドユーザーのプライバシーが盗まれることも・・・
  • manifest v2に準じたChromium拡張機能は少なくとも現状では2024 年 1 月までサポートされる予定

manifest v3

参考リンク
  • ブラウザの新拡張機能API(declarativeNetRequest API)
    • 建前ではエンドユーザーのブライバシーやセキュリティ、パフォーマンスの向上を目的とした新しい拡張機能API
    • 実は広告ブロッカーやトラッカーブロッカーなどを弱体化させるための仕様変更なんじゃないかと批判を受ける
  • 広告をブロックするような拡張機能や、悪質なトラッカーをブロックする拡張機能にとっては大幅な機能制限につながる→今まで定評のあったアドブロッカーなどが軒並み骨抜きにされる可能性

manifest v3での変更

manifest v3には、APIに関する大幅な変更が含まれています。manifest v2においては、広告ブロックやコンテンツのフィルタリングを行うために必要な複雑な処理がwebRequest APIを使って行われてました。manifest v3の新しいAPIであるdeclarativeNetRequest APIは、セキュリティ・プライバシー・パフォーマンス向上の目的で拡張機能側にwebRequest APIよりも大幅に制限された機能を提供します。

大幅に機能が制限されたAPIに移行

manifest v2(webRequest API) → manifest v3(declarativeNetRequest API)

これらの変更は、広告ブロックやコンテンツフィルタリングの拡張機能に重大な影響を与える可能性があります。declarativeNetRequest APIは、現在のwebRequest APIよりも制限された機能しか提供しないため、より複雑なフィルタリングを必要とするアドブロッカーには適していません。これにより、アドブロッカーが(我々の期待通りに)機能しなくなる可能性があります。

manifest v3移行でChromeなどのブラウザ本体に我々エンドユーザーが到底容認できないような悪質な広告(ポップアップ広告や自動的に再生されるビデオ広告など)がブロックできる機能が追加され、拡張機能としてのアドブロッカーがブラウザ内蔵のアドブロック機能をすり抜けた広告をブロックする・・・しかしmanifest v2の頃と比べるとアドブロッカーは大幅に機能制限されてるので・・・結果として我々がブラウザ上で広告を見る機会が増えることが想定されます。

参考記事

大手アドブロッカーの対応

AdguardやuBlock Originなどの大手アドブロッカーはすでにmanifest v3に対応した拡張機能を実験的にリリースしています。今はまだmanifest v2版が使えるので無理にインストールする必要はないですが、一足早くmanifest v3版がどんなものなのか試してみたい方はインストールしてみても良いかもしれませんね。

AdGuard
uBlock Origin

Manifest v3に移行したらどうするべきか

アドブロッカーとしての機能低下を受け入れられる人向け

使い慣れたGoogle ChromeやMicrosoft Edgeにて・・・manifest v3に対応したAdGuardやuBlock Originの拡張機能を使う。ただしmanifest v2版の時よりもアドブロッカーとしての性能は大きく落ちることをユーザー自身が受け入れる。

またGoogleやMicrosoftなどと良好な関係にある老舗アドブロッカーのAdBlock Plusを使う方法もあります。manifest v3になるとアドブロッカーがほとんど機能しなくなるんじゃないかという懸念を払拭するために、GoogleとAdBlock Plusは共同で研究し、declarativeNetRequest APIを使った広告ブロック拡張機能でも適切に広告をブロックできると言っています。

AdBlock Plusは昔から控えめな広告との共存を謳っており、控えめな広告であればサイト運営側も広告で収益になるし、サイト利用者もサイトが無料で使えるなら控えめな広告であれば許容できるんじゃないか・・・それがより良いWEBをサポートすることにつながるという意味合いです。デフォルトではこの控えめな広告を許容するオプションはONになっており、控えめな広告を許容できない人は明示的にオフにする必要があります。AdBlock Plusの理念には賛同できる部分が大いにあるんですが、AdBlock Plusが企業からお金をもらってその会社の広告を秘密裏に控えめな広告として表示させているというニュースを昔見たことがあって、それ以後はAdBlock Plusを使わなくなりました。

先日マイクロソフトの検索エンジンbingにAIが搭載された流れで、iPhoneでもbingのAI使ってみたいなぁと思いiPhoneにもEdgeをインストールしてみたのですが・・・iOS版のMicrosoft EdgeにはAdBlock Plusが内蔵されてましたね。

当面manifest v2相当のアドブロッカー機能を維持したい人向け

manifest v3準拠のそんなガバガバなアドブロッカーなんて使ってられねぇよ・・・そんな硬派な人たちはChromeから他のブラウザに乗り換える人も出てくるでしょう。

firefox + uBlock Originを使う

参考記事

Firefoxでもmanifest v3へと移行するんですが・・・アドブロッカー開発者の反発に配慮して当面manifest v2も維持される模様です。ChromeやEdgeからFirefoxへの移行が当面の間は最適解かもしれませんが、Firefoxでは使えないサイトも少なからず存在するので・・・Firefoxへの乗り換えを検討してる方はFirefoxでは見れないサイト用にサブブラウザを用意する必要がありそうです。状況に応じてブラウザを使い分けましょう。

アドブロッカーを本体に内蔵してるブラウザを使う(braveなど)

ブラウザ自体にアドブロック機能を内蔵してるものはいくつかありますが、今だとChromium系のbraveが有名ですね。

Googleの来るべきManifest V3は拡張機能として提供されている多くのアドブロッカーを壊す可能性がありますが、Manifest V3はBraveが広告をブロックするのを防げないでしょう。なぜならば我々は広告をブロックする機能をブラウザ本体に組み込んだからです。ですからGoogleが拡張機能のルールを変更しても影響を受けることはないでしょう。

brave公式Twitter – https://twitter.com/brave/status/1574822798299729925

こんな風にBrave公式Twitterは言ってます。それにくわえて、エンドユーザーのためにmanifest v2のサポートはGoogleが終了しても続けると言ってます。しかしBraveはChromium系のブラウザですから、いわばGoogle Chromeの兄弟、将来的にどうなるかは今のところ不明です。

まとめ

ブラウザの拡張機能はブラウザのデフォルト機能ではできないことを可能にするため拡張機能を利用するために拡張機能が要求する権限を許可してやる必要があり、その権限を悪用して悪いことをする拡張機能も少なからず存在します。

人気のあった拡張機能が実は不正なアフィリエイトコードを挿入してお金儲けしていたり、拡張機能が買収されて開発者が変わった結果突然マルウェアに変わってしまったり、ユーザーの個人情報を収集して外部に送信するような拡張機能もありました。

manifest v3への変更は、我々エンドユーザーのセキュリティやプライバシーを守ることに一定の貢献をするのは間違いないですが、一方で日頃から自身のセキュリティやプライバシー保護に高い関心を持ってるユーザーから人気がある「アドブロッカーやトラッカーブロッカーのような拡張機能」には大きな悪影響が出る可能性があります。現在のところ、人気のアドブロッカーがmanifest v3移行後もユーザーが期待する性能を発揮できるかどうか不明です。しかし、Googleは開発者に対し、新しいAPIを使用することを奨励しており、この変更に対応するためにブラウザ拡張機能の開発者は、この新しいAPIに必ず対応する必要があります。

僕個人としてはこのブログにGoogleアドセンスを含めて広告を掲載しており、そこから得られた微々たる収益はサーバー代やドメイン代などの経費に充てています。ですからサイト運営者が自分のサイトに広告を載せてお金を稼ぎたい気持ちはよくわかります。一方で世の中には悪質な広告もたくさんありますから、僕自身も快適にネットを使うため・セキュリティーやプライバシー保護目的のために、ブラウザにアドブロッカーやトラッカーブロッカー的な拡張機能をインストールしており、スマホにもアドブロッカーを導入してます。サイト運営者としての気持ちとエンドユーザーとして広告を見たくない気持ち、両方に板挟みになって、まさにアンビバレントな状態ですね。

manifest v3移行後は「控えめな広告であればサイト運営側も広告で収益になるし、サイト利用者もサイトが無料で使えるなら控えめな広告であれば許容できるんじゃないか・・・それがより良いWEBをサポートすることにつながる」というAdBlock Plusの理念が当たり前になるのかもしれません。最近人気のブラウザbraveもデフォルトで強力なアドブロック機能を内蔵してますが、あえて広告を表示させると仮想通貨がもらえるという面白い仕組みがあります。

manifest v3完全移行までにはもう少しだけ時間があるので、日頃アドブロッカーやトラッカーブロッカーを愛用してる人は「どうするか」を考えておきましょう。

参考資料

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

MacとかiPhoneとかApple製品が好きですが、Windows、Android、Alexa、Google Nest Hubなどいろんなガジェットが好き。根っからのキャッシュレス派で、最近は資産運用(株式投資・投資信託)に力を入れてます。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次